IDカードストラップのいろいろ・種類について

社員証など、ある組織に属していることを示す身分証明書は、昔は手帳のような大仰なものだったこともあるのですが、ここ数十年は必要事項をコンパクトに集約したカードの形をとることが多くなっています。そして、そうしたカードをなくさないように、そしてカードキーとしてドアの開け閉めに使うためなど、出したり見せたりセンサーに触れさせたりするために「ストラップ」を使って首にかけるケースが多く見受けられます。

ここではIDカード、およびそれをホールドするためのストラップ類のいろいろについて見ていきます。

IDカードの用途・種類

ネックっストラップを掛けてパソコンを操作する男性たち

まず、いわば「主役」のIDカードについて見ておきましょう。

代表的な用途は「社員証」です。文字通り「社員であることを証明するカード」。

組織・集団に属することを証明・表示するカードとしては、大学や学園では「学生証・生徒証」、病院では「Doctor、Nurse、Intern、Paramedical、Volunteer」などのカード、大型商業施設では担当部署ごとに「○○係・品物売子」や「取引業者・鶴亀商会」といった内部スタッフと外来関係者が区別できるID、あるいは「中小企業診断士資格取得証」のように資格保有を氏名入りで証明するIDカードもあります。さらには、テンポラリーなIDカードとしては、東京ビッグサイトのような大きな会場でのイベントに際して、スタッフとしてスムーズに出入りするために、すぐ見えるところにパスIDカードを示すケースもあります。出入り口のセキュリティが一目で確認できるわけです。

たいへん多種多様な機会に、IDカードは必要不可欠なものとして活用されます。

IDカードの多機能化

ネットストラップを掛けたスタッフ

シンプルに「○○証」と題し、氏名や会社名、所属部署、役職などを記すだけでも本来は十分にIDカードの意義は果たせますが、より便利に効率的に働けるように、IDカードにさまざまな機能が盛り込まれることが多くなっています。

カードに磁気情報やICチップが埋め込まれており、これをオフィス入り口のセンサーに示すとタイムカードを打刻したのと同じことになったり(出退勤管理)、入室許可のある部屋のドアを解錠するカードキーの機能を果たしたり……ということは珍しくありません。学校や学習塾では、生徒証の提示で「入校・入室」が記録され、自動的に保護者に確認メールが届くようなシステムも見られます。

通退勤に使う交通系電子マネーカードの機能を取り込んだIDカードもありますし、EddyやNanakoなどさまざまな電子マネー機能を持たせて街中の店舗や社員食堂での決済に利用できるタイプもあります。

多機能化の傾向は今後も続くでしょう。スマートフォンでできることが、すべてカード1枚でできるようになる時代が来るかもしれません。

ケースとストラップも大切

ハイタッチ

IDカードが多機能化・多用途化すればするほど、1枚のカードが持つ重要性は高まります。とうぜん、なにがあろうと絶対になくしたり盗まれたりはしたくありません。

そうなると、IDカードをしっかりホールドするケースと、それを肌身はなさず身につけるためのストラップの役割も重要になってきます。

ケースのいろいろ

ネックストラップで使用される用紙

IDカードのケースについては、各種団体・組織によって考え方はさまざまでしょう。全員のものを、ユニフォームのように同じデザインとするところが多いでしょうが、個々人の好みに任せるところもあるでしょう。プラスティックやビニールの、素っ気ないながらも統一するには向いているケースから、皮革製や樹脂製でオシャレ系、カワイイ系のケースまで、今どきは選択の幅も広がっています。

また、IDカードが併せ持つ機能によっては、それに合わせたケースが必要になることもあります。たとえば、接触型ICチップを内蔵したカードなら、Suicaなど交通系電子カード向けのケースに見られるような、取り出しやすいスリットがあると便利でしょう。非接触型ICチップを内蔵したカードだと、近年は数メートルの距離からスキミングできるデバイスも悪用されているようですので、これをブロックするために金属でカバーされているようなケースがあると安心です。

セキュリティという観点では、最近は「施錠できる」カードケースもあります。数枚のカードが入り、施錠するとカードを取り出せなくなるタイプです。場所柄によっては、便利なのではないでしょうか。

ストラップも必要に応じてかしこく

ネックストラップで使用される用紙

IDカード、およびケースを身体に結びつけるストラップの役割も軽く見るわけにはいきません。

ふつうに首にかけて下げるだけであれば、特にこれといった「ひねり」もないひも(ストラップ)で十分でしょう。ただ、社員証など日常的に携行するものであれば、肌に触れていてストレスを感じさせないような素材が望ましいと言えます。触れてすこし汗をかいただけでかぶれるなんてもってのほかです。なめらかでさらりとした肌ざわりの素材でできたストラップを選びたいところです。

また、シンプルなストラップであっても、所属部署や担当業務別などにより、色分けすると職場が効率的・機能的になることもあります。来客やパートナー企業の職員など、外部から来たヴィジターに特別な色のストラップのカードを付けてもらうと、事情を知らない自社員にも「来客なので失礼のないように」というメッセージが伝わります。すれちがうときに「軽い会釈と笑顔を」と指導しておくと、来客の印象が良くなってビジネスにもプラスになるでしょう。

シンプルなストラップでは、ほとんどの業者が多色展開していますので、色分けの応用は自在に考えられます。

IDカードの機能に応じたストラップも

ネックストラップで使用される用紙

IDカードが持っている機能によっては、ストラップにもひと工夫が求められてくることもあります。

前述したような接触型ICチップを内蔵したカードの場合、センサーに触れさせるためにカードを身体から離す必要が生じます。スリットのあるケースからカードを取り出して触れさせても良いのですが、そうするとカードはいったんフリーな状態にリリースされることになります。リードを外した犬のように勝手にどこかへ行くことはないでしょうが、ちょっとリスク、不安を感じます。

それを考えると、ストラップが伸びて、カードと身体がつながったままでセンサーに触れられるようにした方がずっといいです。

もちろん、このような用途に対応したストラップもあります。まず、断面が筒状になっている「筒織り」のストラップの一部には、ある程度の伸縮性があります。首から下げてカードが腰のあたりにまで下がっている場合なら、この筒織りストラップで十分でしょう。

もう少し伸縮性のあるものとして「コイル」があります。やわらかく弾力のある樹脂をらせん状の「ばね」のような形にしたもので、引き延ばせばかなり長く伸び、手を離せば元の長さに戻ります。

もっとはっきりと伸び縮みするタイプもあります。典型的なのは「伸縮リール」です。寸法を測るときに使う「巻き尺(メジャー)」や、電気吸引掃除機の電源コードを巻き取る仕掛けを思い浮かべればわかりやすいでしょう。あのような仕組みを小さくしたものを身体に装着して、必要なときには細いワイヤーや糸を引き出して伸ばしてICチップをセンサーにタッチ。用が済んでカードから手を離せば、リールがワイヤーや糸をシュルシュルと巻き取ってカードは元の位置にもどります。

キーホルダーとして鍵束を連結する伸縮リールも一般的ですが、IDカード用ストラップにも同等のものがあるのです。必要に応じて導入されると便利です。

このように、ストラップにもIDカードの機能に応じた多彩な製品があります。効果的な活用はアイデア次第です。